このレビューはネタバレを含みます
灯りが煌々と輝く京都の街は、とても美しくとても息苦しい。
移動的ではなくどこまでも柔らかな舞子の一挙手一投足を捉える映像。舞子の姿がどこを本当に取っても美しく、それが残酷で厳しい世界のなかでどこまでも浮いている。
何度か出る頭を垂れて項のラインが印象的なショットの浮世絵を思わせる艶やかで感傷的な美しさは、彼女達の苦しみを別世界のものと思わせるような引力がある。しかし、彼女たちが抱える問題は醜くおぞましい卑俗なものである。
美代春と栄子のキャラクターの強いコントラストがあってあの溶け込むような2人の悲哀のラストにこれほど強烈な印象となる。二人の間に大きく隔たる穢れこそが徹底して押し出されるものの、だからそこ最後の美代春の「あんたの旦那さんや」というセリフに家族愛や親愛だけでなく、共生を誓う深い共同意識を見出すことが出来るのである。
女性の尊厳を尽く破壊しようとすることを厭わないような価値観は見ていて苦しいものがあったが古いと切り捨てることとは異なる作品だった。