砂利川権兵衛

キクロプス CYCLOPSの砂利川権兵衛のレビュー・感想・評価

キクロプス CYCLOPS(1987年製作の映画)
3.9
これはかなり好き。まったく思うところがないわけではないけど、それでも飯田譲治は信用に値することを再確認。まず、阿藤海演じる「単眼鬼」の男の佇まいが絶品。善なのか悪なのか最後までよく分からない立ち回りが謎過ぎて困惑できるし、クライマックスの「変身」シーンと「隠し腕」(ジ・Oみたいな書き方するのやめろ!)を使ったバトルシーンも最高過ぎる。対戦相手の佐野和宏も負けず劣らずキてるキャラで、妊婦の奥さんで投薬実験したり、マリグナントのガブリエルを彷彿とさせるフォームチェンジを披露するなどで鑑賞者を魅了してくれる。見るも無惨な肉塊と化した佐野(阿藤と融合してる?)と、彼の妹を同一フレームに捉えたショットは儚くも凄惨。思わずため息が出る美しさだった。

グズー(なんならバイオセラピーも)と同じ、「80年代スプラッターの初期衝動」的なるものを、この時代だけに許されたある種の「特権性」を本作からも強く感じた。