むっしゅたいやき

キャラメルのむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

キャラメル(2007年製作の映画)
4.5
何と言う郷愁、哀切。
ナディーン・ラバキー。
監督・脚本・主演を務めたラバキーの、復帰作。
一見、ベイルートに住まう女性美容師等の日常を切り取った群像劇かと思わせられるが、各自が抱える問題から、レバノンの“現在”を透かして見せられる、非常に社会性の高い作品でもある。

イタリアの某巨匠曰く、「映画は始まりと終わりが良ければ好いのだ」とのことであるが、本作も其れを地で行く作品である。
冒頭、脱毛剤を捏ねるその美しさから引き込まれ、ラストでは街行くローズとリリーの、優し気な後ろ姿を捉えたショットに癒される。
ストーリーラインはメリハリが効いており、コミカルさにほんのりとシリアス味が加えられる。
ラバキーの美しさもさる事乍ら、女性陣が皆キャラ立ちしており、仲の良さも相俟って鑑賞している我々をも作中、彼女等彼等と接している様な気持ちにさせられる。
髪を切った女性が、弾む様に進む姿は、私には遠く通り過ぎた、懐かしい過去をも思い起こさせた。

内容、撮影技術、演出含め、間違い無く傑作であるが、スコアは抑えた評点としている。
個人的にこの女性陣の華やかで妖艶な世界にはくらくらと目眩がしそうな故である。
お察し頂きたい。
むっしゅたいやき

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