和桜

セルピコの和桜のレビュー・感想・評価

セルピコ(1973年製作の映画)
4.1
警察組織の腐敗と戦った実在の刑事をモデルにした社会派映画。冒頭、同僚から撃たれ救急病院へ運ばれるシーンから始まり、その顛末が時を遡り描かれる。
賄賂を受け取らないことから左遷された新人警官時代から、どこへいっても公然と汚職が行われるアメリカの警察内部が映し出される。

恐ろしいのは全ての人間が自発的に不正を行っているわけではなく、平穏に職務をこなすためには不正に荷担し続けなければならない構造そのもの。
「金を受け取らない警官を誰が信用するんだ?」という仲間内の言葉の通り、不正を共有出来ない警察官は信用されず村八分にあう。彼らが犯罪者以上に恐れるのは賄賂を受け取らない同僚であり、その恐怖ゆえに嫌がらせを行い続ける。

主人公はそうした環境の中で、頑なにお金を受け取ろうとしない。戦いというにはあまりに部が悪い、私生活までもがどん底に落ちていくなかで、信念なのか意地なのか自分でもわからないままに泥臭く抵抗し続ける。
それを全盛期とも言えるアル・パチーノが演じるんだから魅入ってしまう。あの反骨的でどこか哀愁のある目が堪らなくかっこ良くて、何年も寄り添い続けてる犬には癒された。
和桜

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