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劇場版 MARCO 母をたずねて三千里のFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

イタリアの作家エドモンド・デ・アミーチスによる挿話短編「アペンニーノ山脈からアンデス山脈まで」を原作としたTVアニメ『母をたずねて三千里』を楠葉宏三監督がリメイクした劇場版アニメーション作品である本作は、19世紀後半、不景気と貧困に喘いでいたイタリアの港町・ジェノバから出稼ぎのために移民船に乗り込みアルゼンチン・ブエノスアイレスへと渡った、母親のアンナから毎週のように届いていた手紙が途絶えたことで不安を募らせ、父・ピエトロを説得し、母親に会うため愛猿のアメディオとともに1万2千キロもの過酷な旅へと出た少年・マルコの姿を描いた作品となっているのだが、人との出会いや人と繋がることの温もり、家族愛や友情など熱いものが感じられて心がほっこりとする作品であることに間違いはないですし、涙を誘われるシーンもある。ただ、やはり限られた時間の中で十分に物語を紡ぐのは困難と言いますか、TVアニメ版を約2時間に凝縮したリメイク作品なので一つ一つの物語が淡々としていて味気なく、映し出されるものは理解は出来るがそれまで。物語に没頭しようにも胸を打たれる前に足早な展開を見せるので置いてきぼりにされてしまう感じは否めないですし、決して悪くはないが、本作を視聴するよりもTVアニメ版を視聴した方が良いのかと。説明不足な点も多々ありますし、第一にマルコの苦悩や葛藤があまりにも薄味となっているので旅の過酷さが削られてしまっている。仕方のないことだとは思うんですけど。やはりこの点は気になってしまう。
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