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呪われたジェシカのslowのレビュー・感想・評価

呪われたジェシカ(1971年製作の映画)
3.9
いる、と聞かされると、いるような気がしてくる。壁の模様が、人の顔のように見えてくる。『ジェシカを死ぬほど怖がらせよう』は悪趣味な原題だけれど、ジェシカの精神的な病み具合を重度にするか、軽度にするかは、そう題された瞬間から観客に委ねられたということでもある。
オートリバースする悪夢。一度見聞きしたものがイメージに即落とし込まれ、危険分子・因子として映像化される世界。若い女、白いドレス、写真の女。そこに私情と噂が手を繋いでかごめかごめするもんだから、さあ大変。ジェシカでなくても物事を悪く考えてしまいそうな状況なのに、まるで彼女の反応を楽しむかのように、彼女は槍玉に挙げられ続ける。そこがこの作品のいやらしさ。ジェシカの受難。あの町にあったのはただの噂話かもしれないし、噂話ですらなかったのかもしれないのに。
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