Kumonohate

独立機関銃隊未だ射撃中のKumonohateのレビュー・感想・評価

独立機関銃隊未だ射撃中(1963年製作の映画)
4.1
「独立愚連隊シリーズ」5作目。谷口千吉監督としては2作目。舞台は昭和20年8月(広島・長崎への原爆投下直後=終戦直前)のソ満国境地帯、ソ連軍の侵入を食い止めるべく、九二式重機関銃1台を備えたトーチカに立てこもって戦う5人の日本兵の話。

90分強のストーリーのほぼ全てがトーチカの内部だけで展開し、登場人物も(時折、外から訪れる日本兵や敵対するソ連兵が登場するものの)ほぼ5人だけという密室劇。痛快戦争アクションだったこれまでとはうってかわって、ド・シリアスで暗澹たる内容となっている。「独立愚連隊」シリーズとして捉えると、そもそものコンセプトから逸脱した異色作ということになろうが、単独の戦争映画(反戦映画)として捉えると、リアリティや臨場感や恐怖感や緊張感や閉塞感や絶望感や無残さに溢れた、極めて優秀なアクション&人間ドラマとなっている。

また、九二式重機関銃(自衛隊から借りてきた本物と、精巧に作られたプロップを併用したらしい)の操作や、ソ連軍が拡声器で呼びかける降伏勧告や、記録帳に書き付ける家族への末期の手紙など、戦争描写のディテールも素晴らしく、物語の盛り上げに一役も二役も買っている。電話による他のトーチカや指令所との連絡と、トーチカに開けられた小さな長方形の窓から僅かに見える光景と、敵味方による飛行機や高射砲の爆撃の音だけで戦況や外の様子をわからせるという演出も見事。三橋達也や佐藤允を中心とする役者達の演技も素晴らしい。

名作。
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