MASAYA

ライフ・イズ・ミラクルのMASAYAのレビュー・感想・評価

ライフ・イズ・ミラクル(2004年製作の映画)
3.7
『黒猫・白猫』でこの監督の動物との共演っぷりは凄いなと感心した矢先でした。
本作ではそれ以上に見事な仕上がりとなっているので驚きです。

レヴェナントもびっくり、本物の熊が登場。人間を噛み殺す役として立派に演技をしています。

さて、最初に断っておきますが、基本的には戦争映画は嫌いです。大抵はその悲惨さを訴えかけるものが多いからなような気がします。
けれども本作はひと味違います。たしかに戦争映画ではあるのですが、爆撃なんかもコミカルに描かれていますし、登場人物もそこまでシリアスな表情を浮かべません。明るい音楽のおかげもあり、意外にも笑えるかなり作品となっているため戦争映画が苦手な自分でもかなり楽しむことができました。

舞台は1992年のボスニアの片田舎。主人公であるセルビア人のルカは村に鉄道を敷くためやって来た技師で、家族と共にほのぼのとした生活を送っていたが、ある日突然息子が軍に招集されてしまう。おまけに妻まで別の男と駆け落ちしてしい、一人きりとなってしまう。さらには息子が敵方の捕虜になったという知らせが届くなど不幸の連続。
そんな折に敵方の女性看護師を捕虜交換要因として家で預かることに。奇妙な共同生活を続けるうちに2人は次第に好意を寄せ合うようになる。

テーマが捕虜の女性と恋に落ちた男性の物語という珍しい設定なだけあって様々な壁があるのですが、切なくも心温まるヒューマン・ラブストーリーです。

戦争映画なので悲惨な出来事自体起こりはしますが、メインとしてドタバタコメディとして描かれているため感傷的な気持ちにはなりません。
そんな気持ちになどならないくらいのエネルギーとパワーに溢れているからです。あとやっぱり音楽が素晴らしいんですよね、クストリッツァ監督は。

個人的に『生きていれば何か良いことがある』というメッセージのにやられました。
とりわけ最初は自殺しようかと涙を流していたヤギが最終的には大活躍を見せるので魅力的です。様々な伏線となっているのではロバ登場のシーンは注意して観た方がよいでしょう。

154分と少々長いですが、生きる活力が湧いてくる映画です!


2016.4.25
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