めしいらず

キャリーのめしいらずのレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
3.4
先に観てしまった2013年リメイク版と比べて、この1976年オリジナル版の方が断然良かった。スローモーションの効果や観客の視点の誘導が巧みなカメラワーク(ヒッチ的な…)などデ・パルマらしい演出が冴えている。プロムパーティに充分に時間を充てたのもいい。気の毒な主人公キャリーの人生にようやっと訪れた幸福な時間をスローを多用してたっぷり見せてからだから、彼女が叩き落とされたそのどん底の絶望感がより際立って感じられるのだ。そして惨めたらしい高校生から一夜のスターへ、そして鬼の形相の魔女へとキャリーを演じ分けたシシー・スペイセクがまさに適役。プロムに居合わせた人々が揃って血まみれのキャリーを嘲笑したと彼女に見えたように描いたのが、それまでの彼女の卑屈な人生観を見るようで実に効果的。有名なラストのショックシーンにもちゃんと理由があり、安物ホラー的な単なるサービス選出に堕していない。物語の前半部が急ぎ足に思えたのが少し惜しい。
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