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フランス映画だ。
非常に見応えのある人間ドラマだ。
ナチスのホロコーストも大きなテーマである。
1955年夏、7歳のフランソワ少年は美しい母とスポーツマンの父の下、スクスクと成長していた。
ご近所のルイズをはじめ、両親の友人たちも彼を可愛がり、慈しんでいる。
ここで少々ネタをバラしてしまうが、フランソワ少年の父マキシムはフランス人のキリスト教徒、母タニアはユダヤ人だ。
ルイズもユダヤ人である。
私は最初、その辺がよく分からなくて、若干戸惑ったのだ。
ここをよく理解していた方が、物語に入っていきやすいと思われたので、敢えて言及した次第である。
フランソワ少年の両親、タニアとマキシムには何か秘密がありそうだ。
戦時中、ナチスドイツ占領下時代の事は一切話題にしないのだ。
両親だけでなく、ルイズら友人たちもである。
フランソワ少年は占領下時代の両親の事を何も知る事なく成長してゆく。
15歳になったフランソワ少年は、学校の授業でホロコーストの映像を見る。
非常に残酷な映像だ。
何百、何千ものユダヤ人の遺体が、まるで物のように無造作に扱われている。
それを見ながらユダヤ人を侮辱し、せせら笑うクラスメート。
フランソワ少年の中で何かが爆発した。
彼はそのクラスメートに殴りかかり、叩きのめすのだ。
「僕はアイツを殺してやりたいと思ったんだ」
その話を聞いたルイズは、彼に全てを話す。
戦時中、マキシムとタニアに何があったのか。
そう、実はこの作品は、マキシムとタニアの物語なのである。
二人の恋愛感情がどのように育まれ、どのような形で成就したのか。
そして、その中で死んでいったアンナとシモン・・・
アンナとシモン。
この二人には是非とも注目していただきたい。
二人の悲劇的な最期には、さすがの私も涙を禁じ得ないのである。
色々な要素があり、時系列も行ったり来たりではあるが、スッキリまとめらていて分かりやすい作品だ。
内容も重厚でありながら、非常に理解しやすい。
とてもいい映画だった。
実は、セシル・ドゥ・フランス目当てで借りた作品だ。
彼女の作品は何作か鑑賞していて、私は彼女の虜なのである。
初めて観たのは忘れもしない・・・
「少年と自転車」・・いや「自転車と少年」だったか。
もしくは「少女と一輪車」
あるいは「自動車と中年」であったか。
とにかく、忘れもしないのだ。
爽やかなセシルが実に魅力的だったのである。
だが、この作品では一転して、重い演技だ。
難しい役どころだと言えよう。
役作りには苦労したのではないだろうか。
監督と衝突したり、人知れず涙を流したり・・・
様々な苦労があったことだろう。
そんな時に私がそっと抱きしめてあげたりしたので、事なきを得た・・・
と言っても過言ではないのだ。
(過言やで、ほんで妄想やで)