息子には愛し合ってる両親に見えたが、その裏にあったのは愛し合ってたが故の罪の十字架であった...。
私の解釈では、ナチスによるユダヤ迫害という、歴史の波によって引き起こされた愛の悲劇として、両親は自分たち自らの愛を正当化した。
前妻とその息子を死に追いやった道徳的な罪に加え、義兄弟にも関わらず愛し合った倫理的な罪からも逃れる為に、両親は悲劇的な歴史物語を利用した。
一方では罪を悔い改めようとし、他方では罪を誰かに転嫁しようとした。
そして、それに自覚的だったからこそ、両親は自分たち自らの憎々しさを正当化した。
ある秘密として...。
ある秘密とは、罪と罰のように、愛と憎があるみたいに、相反するものが共存することでしか生活を営むことが出来なかった、ある両親のある人世代のことである。