囚人13号

バンド・ワゴンの囚人13号のレビュー・感想・評価

バンド・ワゴン(1953年製作の映画)
5.0
年一で再見してます。ハリウッドミュージカルで最強なのはこれか『踊る大紐育』。
序盤のお祭り装置からずっと最高で、役柄とは裏腹に戦前から移りゆくエンタテインメントの潮流を耐えてきた男の色気というか、アステアの足取りの優雅さはダンスしてなくともシナトラやケリーとは一線を画している。

シド・チャリシーの映画内における役割を越えた嫋かさこそ賞賛されるべきなんだろうが、ダンスの度にスクリーン内の現実が更新されていく多幸感、最後には舞台上のフィルム・ノワールを飽和させてしまう多層化に一つの完成形を見る。
こんなの見せられたら『イースター・パレード』も『巴里のアメリカ人』も傑作とはいえ霞んでしまうね。
囚人13号

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