Fitzcarraldo

時をかける少女のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

時をかける少女(1983年製作の映画)
2.0
1965年に中学生向け学習雑誌で連載を始めた筒井康隆による少年少女向けSF小説を初めて映画化した後に尾道三部作と云われる大林宣彦監督作品。

1972年にNHKで初めてドラマ化されて以来、9回にわたり映像化されドル箱コンテンツと化した原作者の筒井康隆は「50年も前の作品だが、よく働く『銭をかせぐ少女』だね」と語った。

時代が大きく変わっているのに、なぜ興味を惹きつけ続けることができるのか?時の試練に耐えうるポイントは何なのか?どこにそんな普遍性が描かれているのか?

細田守版と大林宣彦版の二本を見ても謎は深まるばかり…何がいいのか全く理解できない。原作が肝なのか?


エンドクレジットには脚色ではなく潤色:大林宣彦とある。

[潤色]→話をそのままでなく、事実を誇張したりある意図に従って作り変えたりすること。

そして脚本には
【警察手帖は殺人のパスポートか
 殺すことしか解決を知らぬ
 人呼んでゴキブリ刑事―】
の惹句が踊る『ゴキブリ刑事』『ザ・ゴキブリ』の脚本を担当した剣持亘。

ゴキブリ刑事から、時かけという物凄い守備範囲の広さを誇る剣持亘。

潤色と脚本って…どちらが、どのアイデアを出して、どこをどう改良したのか…わかりにくい。


本作の制作費1億5千万円は角川春樹のポケットマネーだったと大林宣彦は後に語る。
「角川春樹のプライベート映画だから、観客は角川春樹だけでいいと思っていた、二人の"あしながおじさん"ならぬ、"胴長おじさん"が、知世のために映画を1本プレゼントしてあげようと。知世が30歳、40歳、50歳、おばあちゃんになったとき、昔を懐かしんで、部屋でひとり誰も観なかった『時をかける少女』を観ている姿もいいな、と考えていた」

マーケットをまるまる無視してパトロンのためだけに映画を一本作るなんて…随分と贅沢な製作スタイルで羨ましい限り。

さらに大林宣彦は語る。
「その思いが観客に伝わったんでしょう。純愛ラブレターをこっそり見せてもらったような感覚。またファンのみんなにとっても『僕が愛した知世』になった。それが、一種の奇跡を生んだんでしょうね」

「純愛ラブレターをこっそりと見せてもらったような感覚」確かに、この表現が一番よく表していると感じる。そもそもラブレターというものは第三者に見せることを想定してないのだから、自分の個人的な想いを受け取る本人(原田知世)だけに伝わればいい。
だから第三者が見て無茶苦茶でも構わないんだよね。例えば二人にしかわからないエピソードは、第三者からすればなんのこっちゃという話になるのは当然で…

だから、「ファンのみんなにとっても『僕が愛した知世』になった。それが、一種の奇跡を生んだんでしょうね」となったのが不思議。そうはならないと思うんだけどね…。それって他人のオナニーを見て喜んでるのと変わらないような気もするのだが…

棒読みロボットのような「僕が愛した知世」を、私は愛するというよりも不快でしかなかった。彼女の良さが微塵もわからない。

それなら彼女のクラスメイトで斜め前に座る神谷真理子を演じた津田ゆかりの方が断然目立ってたし、芝居も原田知世よりナチュラルで良かったと思う。


○校庭
焼却炉にゴミを捨てる尾美としのり演じる堀川吾朗と、高柳良一演じる深町。

あぁ焼却炉…しかも火がついてる!懐かしいなぁこの感じ。確かに何かの当番の時は、焼却炉で火遊びしてたわ…燃えて灰となったものでも遊んでた気がする。

焼却炉を見ただけで妙にノスタルジーになってしまう。なんでもかんでも燃やしてたなぁ…
ゴミを押し込んだり、灰を落とすのに使ってた先が広がってるあの鉄の棒…名称はなんて云うんだろう?勝手に名前つけてたような…思い出せない。あの鉄の棒で火のついた炉の中のゴミをグリグリやるのが意外と好きだった記憶がある。

ごみ焼却時に主に小型焼却炉から出るといわれている猛毒物質のダイオキシンが、児童・生徒の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるとして文部科学省が1997年に全国の学校に焼却炉の廃止を通達。

まさかのダイオキシン問題。

焼却炉を使っている学校は全体の83%に当たる3万2563校という調査結果があるから、ダイオキシンがスタンダードだった。

子供が火で遊ぶこと自体は何かの発散にはなっていたと思うのだが…下手すると癖になった放火とか余計なことをしでかす可能性も孕んでいたし結果廃止でよかったんだろうけどね。



芳山和子を演じる原田知世の髪型…凄いな…前髪パッツンならぬ、サイドパッツン!耳のところでグン!と揃ってて、そして襟足がクソ重い!


○尾道
日曜の昼下り。
ちょっと出掛けてくると母親に告げる。
尾道を歩く芳山和子。

足元がなんと、赤い鼻緒の下駄!年頃の女の子が休日に下駄って素晴らしいね!


○体育館
体育の授業。

フェチの人が大興奮するに違いない原田知世のブルマ姿!しかもブルマが白いんですけど…これはパッと見、ブリーフにしか見えない。

白色のブルマなんて初めて見たのだが、これは主流だったの?私の時代は紺のブルマだったが、当時は白がメインストリームだったのかな?それとも尾道限定カラー?それとも単に大林宣彦の趣味?映画オリジナル?

白のブルマは衝撃なんだけど…

今や焼却炉と同じく絶滅危惧種となったブルマ。紺色以外を想定したことなかっかから、白いブルマには度肝を抜かれる。しかし、これはアカンやろ!もろ性的な対象にさせれてしまうよ。


懐かしい感情になったところ以外で語るところが全くないのだが…


松任谷由実が作詞作曲した主題歌『時をかける少女』くらいかな…よかったのは。
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