エディ

パワープレイのエディのレビュー・感想・評価

パワープレイ(1978年製作の映画)
4.7
ヨーロッパの小国を舞台にしたクーデターを巡る駆け引きを描いた超名作。
独裁政権で腐敗しきった某国でテロが頻発したために秘密警察が片っ端から逮捕し処刑していく。知人の娘が処刑されたナリマン大佐はそんな政府に見切りを付け、親友のカサイ大佐や恩師である士官学校教授のルソーとクーデターを企てる。
官邸だけでなく放送局やエネルギーインフラを速やかに制圧するために、戦車大隊や空軍、歩兵大隊などのトップも巻き込み綿密な計画が練られていく。不穏な動きを怪しんだ秘密警察の諜報で計画がばれそうになるも、騙し合いに勝ってクーデターは成功する。これで人心が離れた政権からまともな暫定政権が樹立するかと思いきや。。。
前半の諜報戦はスパイ映画やサスペンス映画のようなスリリングな展開だが、クーデター勃発後は実際のクーデターを撮影したかのような迫力あるシーンが続くので息をつく間もないくらいの緊迫感が続く。
なんでこんなに臨場感があるかというと、この映画はカナダ陸軍が全面協力して市街地制圧シーンなどを撮影しているのだ。なので、臨場感がまったく違う。また、ドキュメンタリー風の撮影も迫力ある絵作りに貢献していると思う。
映画冒頭で、NYでテレビ出演した新政府の広報官カサイ大佐のことを、司会者が「カサイ大佐は裏切り者とも呼ばれています」と紹介するが、これはラストまで観ないと判らないだろう。
綿密に練られたクーデターが成功してハッピーエンドと思っているのでラストの喪失感が半端ない。失敗しても独裁政権が続いても虚しいし、成功して軍事政権になってもまた虚しかったという「民衆から離れたところでの政治ごっこ、戦争ごっこ」の虚しさを痛感する。
クーデターを描いた映画では最高の傑作だと思う。
エディ

エディ