ハリ

黄泉がえりのハリのネタバレレビュー・内容・結末

黄泉がえり(2002年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ある日突然死者が次々と蘇り家族の元へと帰ってくる。

"蘇り"ではなく"黄泉がえり"、このタイトルの意味もなんとなく本編を観ると分かる。
超常現象が原因で一定期間のみ、限られた場所の人物のみで、死人が生きていた状態の肉体のまま現代へと蘇る。

残された家族や愛する人を忘れられない気持ちが通じて死人を蘇らせ呼び寄せる…といった趣旨では無かった。

「残された生存者が、死者にもう一度会いたい」

という気持ちが作り出した現象では無く、それとは全く逆で

「死者が生存者に会いたい、やり残した思いや気持ち」

が具現化した現象だと思った。そういう風に考えると葵が平太の為に黄泉帰った理由や、俊介が黄泉帰らなかった理由も葵が今後の人生で必要なのは平太だったという理由に落とし込めば納得出来る。

残された側の家族や友人が人生の帰路や道標を見失った時に、そして過去の清算に苦しんでいる時に新たに道標を立ててあげる役割を与えられた人物が"黄泉帰った"人々なのだなと思った。単純に死者から蘇るでは無く、黄泉の国から現代へ残してしまった者達の為に帰ってくるというテーマだから"黄泉がえり"という題名なのかと自分の中で結論付けてみるとしっくり。

後半のRUIのLIVEでの歌唱シーンは圧巻。ここだけでも正直見る価値はあるかなと感じた。
雑なシーンや演出、やっつけな場面も多少目に付くが本編通して良い映画だった。

1つ残念なのは、敢えて分かるようにしてるのか伏線のつもりか分からないが葵が死んでしまうシーンが分かり易すぎる。葵が黄泉がえりだと序盤で分かってしまうのでそれをもう少し隠してくれていたらもっと感動が生まれたかなと思った。
個人的に平太と葵が居酒屋でおでんを食べるノーカットのシーンはかなりお気に入り。
個人的評価:良作
ハリ

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