ニューランド

泣いてたまるかのニューランドのレビュー・感想・評価

泣いてたまるか(1971年製作の映画)
2.8
過去の自分の嗜好世界というものを思い起こさせてくれて、いい映画なんだけれど・映画としては秀れているとは言いづらい作品がある。序盤観れずに途中から観たので、断定はできないが、『運び屋』などが最近の代表的作品かもしれない。本作は、山田洋次の本の上での(当時)相方の、実作者としての実力を知りたく、観る気になった。
TVドラマほどの、工夫・作劇もなく、勝手知った内容・トーンを何となく詰め込んだだけ。ドラマ・作劇としても、プロともいえぬ低調さ。役者やモノを大事にしてて誠実めも、標準というよりマイナーで当時もう相手にされぬ・スタジオの低レベルにも至らぬ筆致。しかし、作り込みが少ない分、うまくはないが、作中人物のナマで誠実な世界への精一杯の向かい方が点在し、聞いてて悪い気はしないし、それは作中の他者に変なちょっかい超えて響き、情報や狡さのまだ過多でなかった時代を思い起こさせる(よく使われるパターンだが、他人・身内の名を借りて、自らの心情を吐露する二郎さんは、本も演技もうまいとは云えない分、逆になかなか来るものがある)。そして当時のイメージ以上に、榊原るみがいとおしく・美しく見えたは、渥美清より演技を離れて立つ二郎さんの瞳に写った像のせいか。
ニューランド

ニューランド