アキラナウェイ

レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会うのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.4
とんがりリーゼントと
とんがり靴の奴らが再び!!

アキ・カウリスマキ監督による、レニングラード・カウボーイズなるバンドメンバー達がアメリカへ向かう道中を描いた前作から5年。最終的にはメキシコに行ったけど。今度はシベリアに帰るよ。

メキシコでのヒットも過去の栄光になり、落ちぶれたレニングラード・カウボーイズの面々。突然失踪していたマネージャー、ウラジミール(マッティ・ペロンパー)が現われる。彼は自らをモーゼの生まれ変わりで、彼らを故郷へと導く事が使命だと言い出して—— 。

流石のアキ・カウリスマキである。

どこからどう見てもウラジミールなのに、モーゼ?ちょっと何を言っているのかわからない。しかも、以前のウラジミールより独裁的で性格が悪い。

自由の女神の鼻を奪って、CIAの諜報員に追われ、ライプチヒ、ドレスデン、そしてポーランドと彼らの旅が続いていくという、トンデモ展開。

冒頭、メキシコの砂漠でカウボーイハットに穴を開けてリーゼントがこんにちは。

もう、ほんと、このヴィジュアルだけは好きだわ。メンバーの内、何人かは死んでしまったという設定が妙に悲しいし。

何故、この続編で聖書のモチーフをぶっ込んだんだか理解不能だけど、モーゼが水の上を歩いたりする。いや、水の上を歩くのはキリストだけどね。出エジプトならぬ、出アメリカ。任務の失敗を悔いて自殺しようとしたCIAの諜報員は、雷鳴と共に予言者エリアに変身したりだとか。

ストーリーが前作にも増してカオスだわ。

アキ・カウリスマキの作品って、キャラクターが全く笑わない。ポーカーフェイスで淡々とヘンテコな事ばかりする。そこで、爆笑ではなく鼻先をくすぐる程度の、クスッと笑わせるノリが延々と続く。それは前作で経験済みだから、続編までやっちゃうとちょっと飽きるかなぁ。

それでも、やっぱりこの見た目に加えて超個性的な物語運びは唯一無二の世界観。そういう意味では評価する。