地底獣国

エクソシスト3の地底獣国のレビュー・感想・評価

エクソシスト3(1990年製作の映画)
3.5
皆んな大好き?マルコ福音書第五章「イエスまた『汝の名は何か』と問ひ給へば『わが名はレギオン、我ら多きが故なり』と答へ、また己らを此の地の外に逐ひやり給はざらんことを切に求む。」(第9節、10節)由来の多重憑依が題材。


一作目で映画監督の死について捜査していたシネフィル刑事ことキンダーマン警部補が主人公。15年前に起きた連続殺人事件(犯人はすでに処刑されている)に酷似した手口によって殺害された少年の遺体が発見され、キンダーマンが担当することに。更に第二、第三の犯行が起き、被害者はカラス神父(とリーガンの悪魔憑き)に関係があることが分かる…というお話。

刑事が猟奇殺人事件を追うという少し後に隆盛を極めるサイコスリラー(本作より前、1986年に「レッド・ドラゴン」が映画化されてはいるが)風に始まり、そこから次第に超常現象に踏み込んでいくというストーリーの骨子は面白いと思うんだが、予算の都合なんか猟奇殺人犠牲者の遺体を全く見せないのとか、悪魔がカラス神父に何をしたのかぜーんぶ患者Xの口から説明させるとか、キンダーマン警部補の安定感が強すぎるとか、いちばん怖い、というか肝を冷やす場面は犯人が大鋏を振り回すところだというのはホラー映画の作りとしてどうなん?とか首を傾げざるを得ない部分もちょいちょいあり。

とはいえ雰囲気自体はかなり好きなやつだったし、「説明」の場面もブラッド・ドゥーリフとジョージ・C・スコットの顔面強強対決のおかげで緊張感はあって退屈しなかったし、クライマックスはベタだけどそれなりにグッとくるしで、ホラーとしてはともかく、映画としてここまで見たシリーズの中でいちばん楽しませて貰った一本。

おまけ:マルコ福音書5章11-13節の中で、レギオンは人間から離れて豚の群れに憑依し、その群れは崖から海に飛び込んで行ったとあるんだが、「ヴァチクソ」冒頭の「悪魔祓い」でアモルト神父が豚を連れて来させたのはこの辺を意識しているのかも。
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