がちゃん

エクソシスト3のがちゃんのレビュー・感想・評価

エクソシスト3(1990年製作の映画)
2.8
『エクソシスト2』の出来栄えに不満を持った原作者、ウィリアム・ピーター・ブラッティが、正当な続編として自ら脚本を書き、監督までやった作品。

ジョージタウンで次々起こる猟奇殺人事件。
被害者に双子座の刻印が記されていることから、1作目でも登場した、キンダーマン警部(演者はリー・J・コップからジョージ・C・スコットに変更)が捜査に乗り出し、どうやらこの事件は宗教がらみで、しかも15年前のリーガン・マクニールの悪魔祓い(エクソシスト)に関係があると調べ始めるのだが・・・

サタンの恐怖が身についていない者には、まったくつまらない作品です。
原作者本人がメガホンをとっているが、どのシーンにも思い入れが多すぎて切るのもためらわれるのか、冗長なシーンが多い。

1作目で悪魔との激闘で殉死したカラス神父(おお懐かしい)が乗り移った精神病棟に閉じ込められている男と、神父や警部との戦いになるのですが、この男が時々唸り声をあげながら延々と悪魔の恐ろしさを語り続けるシーンはあくびが出るほど退屈。

警部役のジョージ・C・スコットの演技も、重厚を超えて重苦しい。
いよいよ戦いのスイッチが入ってからは、まるで格闘系のゲームじゃないのかとおもうほどの肉弾戦。

この精神病棟の廊下を延々とカメラを動かさず映し続ける長回しはどんな効果を狙ったんだ?

大きな首切り鋏が登場して首ちょんぱのシーンがゴアシーンの目玉になるのかなと思えば肩透かしだし。

認知症の老女が突然警部の家を訪れるのですが、何?どうしたんですか?
そしてどどうなったんですか?

照明に凝り、構図に凝り、たっぷり間を取った演出がただただ重い。
監督が気取りすぎた。酔い過ぎた。

クライマックスの特殊撮影シーンなどは、ワイヤーアクションを駆使したホラー版『マトリックス』のようで、苦笑してしまう。

でっかく赤い太陽を背に、複数のヘリコプターが飛んでくるシーンで始まるイントロは、『地獄の黙示録』かよって吹き出してしまいましたね。

特殊撮影技術は劣っても、気取らずひたすらショック演出を徹底して恐怖を生み出した1作目がひたすら懐かしくなります。

改めて、1作目で悪魔に取りつかれる少女のリーガンを演じた、リンダ・ブレアは凄かったのだなと思います。
目をつぶれば、首360度回転など、いくらでも名場面を思い出すことができますもんね。
この3作目は心に残る場面がないある意味稀有な作品です!

イントロに少しだけ例の「エクソシストのテーマ」が流れたりするのは一応1作目へのリスペクトがあるのかなと思いました。

あと、1作目のディレクターカット版で最もショッキングだった「スパイダー・ウォーク」の亜流のようなシーンも見られます。

いずれにしても、大衆が楽しめるエンターテイメントとしてのホラーだった1作目の『エクソシスト』がいかに偉大な作品だったかを思い返すことになる作品でした。
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