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キャンディのhaizaraのレビュー・感想・評価

キャンディ(2006年製作の映画)
5.0
『やめられる時にはやめたくなくて、やめたいと思った時にはもうやめられない』

詩人志望の青年と女優志望の少女の2人は、運命的に出会い、愛し合うが、青年はヘロインを常用する中毒者だった

主人公の2人を、若く美しいヒース・レジャーとアビー・コーニッシュが演じています

ヒースは本当に素晴らしい俳優でした

この映画での、愛と薬物による快楽の狭間で葛藤する、もう何とも言えない無惨な姿、悲痛な表情は目を覆うほどです

そのくらいの迫真の演技です

ジョーカーも素晴らしかったですが、やっぱりこの映画やブロークバックマウンテンのような悲哀に満ちた演技こそ、彼の真骨頂だったような気もします

アビーもボロボロになりながら、精神を病みながらも本当に輪郭が美しい

映画は天国、地上、地獄の三部構成なんですが、もうそのまんまの展開をしていくんです

ただただ一緒にいたいだけの延長でする結婚、まともな生活を削りながら薬物を通して共有する快楽、夢物語だけの未来を語りながら、刹那的に暮らす2人に待ち受ける現実はもう見るも無残です…

それでも2人の愛は変わらず、子供のように無邪気に戯れ合う恋人のまんまなんです

愛すれば愛するほど、互いに奈落の底へ引っ張り合ってるというのに

この映画がグロテスクで悲惨なだけの絶望劇にならなかったのは、やはりヒースとアビーが美しく透明だったからです

ドラッグで人間が朽ち果てていく映画は数あれど、少なくともこれは薬物に対する啓発ムービーではない

強いて言うならばやはりラブストーリーです

とても、とても、美しいラブストーリーです
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