『やめられる時にはやめたくなくて、やめたいと思った時にはもうやめられない』
詩人志望の青年と女優志望の少女の2人は、運命的に出会い、愛し合うが、青年はヘロインを常用する中毒者だった
主人公の2人を、若く美しいヒース・レジャーとアビー・コーニッシュが演じています
ヒースは本当に素晴らしい俳優でした
この映画での、愛と薬物による快楽の狭間で葛藤する、もう何とも言えない無惨な姿、悲痛な表情は目を覆うほどです
そのくらいの迫真の演技です
ジョーカーも素晴らしかったですが、やっぱりこの映画やブロークバックマウンテンのような悲哀に満ちた演技こそ、彼の真骨頂だったような気もします
アビーもボロボロになりながら、精神を病みながらも本当に輪郭が美しい
映画は天国、地上、地獄の三部構成なんですが、もうそのまんまの展開をしていくんです
ただただ一緒にいたいだけの延長でする結婚、まともな生活を削りながら薬物を通して共有する快楽、夢物語だけの未来を語りながら、刹那的に暮らす2人に待ち受ける現実はもう見るも無残です…
それでも2人の愛は変わらず、子供のように無邪気に戯れ合う恋人のまんまなんです
愛すれば愛するほど、互いに奈落の底へ引っ張り合ってるというのに
この映画がグロテスクで悲惨なだけの絶望劇にならなかったのは、やはりヒースとアビーが美しく透明だったからです
ドラッグで人間が朽ち果てていく映画は数あれど、少なくともこれは薬物に対する啓発ムービーではない
強いて言うならばやはりラブストーリーです
とても、とても、美しいラブストーリーです