アキヒロ

サインのアキヒロのレビュー・感想・評価

サイン(2002年製作の映画)
4.1
面白かった。

主人公のグラハム神父は
過去に妻を交通事故で亡くしており、
それ以来、牧師を辞めて「神を信じなくなっていた」。

妻を轢いたのは、普段は真面目な運転手。
ほんの10〜15分居眠り運転した時に運悪く妻は死んでおり、
そのことからグラハムは神を信じられなくなってしまった。

妻は死ぬ間際に幻想を見ていたのか
「グラハム、見て。メリル、打って」と言い残し死んだ。

この世には2種類の人間がおり、
一方は「神の啓示(サイン)や奇跡を信じる」信仰深い者、
もう一方は、全て偶然だと考える者だという。

グラハムはかつて前者だったが、今は後者に。
もちろん、ミステリーサークルが現れても懐疑的だった。
逆に2人の子供と同居する弟のメリルは信仰心が深く、
サインや奇跡を信じており、
宇宙人の襲来や、それらから思考を守るためのヘルメットなど
率先して行っている。

やがて、攻撃体勢に入った宇宙人がUFOから降りてきて、
グラハムの家を襲い始める。

なんとか襲来を地下で遮り、1階に戻ると居残っていた宇宙人が
息子・モーガンを抱きかかえ、毒ガスを吸わせようとする。
その時、グラハムは妻の最後の言葉
「グラハム、見て。メリル、打って」を思い出し、
グラハムが回りを見渡すと、メリルの近くにはバットが。

メリルはバットを振って宇宙人を殴り、
偶然ボーがそこら中においた水を被ってダメージを負っていた。
助け出したモーガンは偶然にも喘息で気道がふさがっていたので毒ガスを吸わないで済んでいた。

その時、グラハムはハッと気づかされる。
妻の残した言葉、モーガンの喘息、メリルの野球経験と失業、ボーの水の味へのこだわり…
その全てが「宇宙人を撃退し、家族を守るための"神の啓示(サイン)"」だったことに。
そうして、グラハムは滂沱の涙を流した。

宇宙人が襲ってくるという、ホラー・スリラーを描きながら、
神への信仰心を問う深い作品になっている。
まるでスティーヴン・キングの小説を読んでいるかのようだった。
アキヒロ

アキヒロ