アノ

地獄の波止場のアノのレビュー・感想・評価

地獄の波止場(1930年製作の映画)
4.2
超面白い。
家に囚われた女が異邦人の男に惹かれて外の世界へ旅立つというオーソドックスな話だが、
障壁となる女の父親のキャラのインパクトが最高。
明らかに人を殺してる凶悪な面構え(実際劇中で何人か殺してる)と、凄まじい暴力性が光っている。
タイトルの「地獄(HELL)」ってこいつ一人だけのことだもんな。

こいつにかかると親子喧嘩も鞭やナイフが飛び出す殺し合いになってくるからたまらん。
終盤の酒場での乱闘に至っては、二転三転する展開もさる事ながら、
フォードやホークスが撮ったときの可笑しさや暖かさなどまるでない、吹き荒れる純粋な暴力の発露に痺れる。
キング十八番の室内演出の結晶。

すべての障害を克服した後はみんなで歌って締める、というオチもバッチリ決まった傑作。
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