クシーくん

続・激突!/カージャックのクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

続・激突!/カージャック(1974年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

スピルバーグって超エンタメ作品かポリティカルなヒューマンドラマの二択のイメージだったんだけど、こういうニューシネマも撮ってたのか。いい意味で期待を裏切られた。ただニューシネマ的ロードムービーなんだけど、そこに銃撃戦やカーチェイスといった娯楽要素を効果的に盛り込んで、本来ウェットなドラマ部分を余りしつこさを感じさせずに差し挟む緩急の上手さは流石。

これが実話を基にしてるというから凄い。まあ元の話をよく調べると、夫婦が警官を人質にしてパトカーを奪って子供を取り返しに行き、パトカーとの追いかけっこになったという根幹の部分だけが事実みたいだけど。

1970年代版ボニー&クライドの趣もある。ボニーとクライドは罪のない人間を殺しまくったのであの結末も止む無しだけど、スライド巡査が語っているように、クロヴィスは銃も撃たなかったし、誰も傷つけなかったんだよなあ。明らかに夫の方は最初から乗り気じゃなかったのに、妻を愛してるから断り切れずに自分でも理解してるのに死に向かっていくのが哀れさを増す。

ゴールディ・ホーンの映画は「永遠に美しく…」以外では初めてちゃんと見たかも。まだ幼さすら残る彼女が、道中人気者になっておもちゃや化粧品を貰ってはしゃいでいたのが、最後に子供に会えなくなる事をようやく理解して絶叫する演技は凄まじい。全然可愛いだけの女優じゃないんだなと改めて感じた。

夕闇に大量のパトカーが集結するショットとか、ああいう構図をスピルバーグも使うんだ。夕日に佇むスライド巡査のラストショットも胸が痛くなるほど美しい。
舞台がテキサスだから道路がやたら広くてロングショットが映えるのも利点になってるのかな。自警団とか最新パトカーでやってくる奴らとか、やたら好戦的な連中だらけでテキサス!感あって笑う。

単独作品に続とかつける商法本当嫌い。ましてや関係ない作品に。もっと注目されていいスピルバーグ劇場初作品。
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