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クジラの島の少女の一人旅のレビュー・感想・評価

クジラの島の少女(2002年製作の映画)
4.0
ニキ・カーロ監督作。

マオリ族の作家ウィティ・イヒマエラによる1987年発表の小説「The Whale Rider」をニュージーランド出身の女性監督ニキ・カーロが映像化したドラマ映画です。

ニュージーランドの浜辺の小さな村を舞台に、マオリ族の12歳の少女パイの苦悩と成長を見つめたヒューマンドラマで、男の子孫が伝説の“クジラ乗り”の後継者として代々選ばれてきた長い歴史の中で、女であるがゆえに後継者候補から最初から外されてしまった少女が自らの意志で運命を切り拓いていく様子を、女の後継者を認めない族長である祖父との確執と理解を軸に描き出しています。

ニュージーランドの先住民族であるマオリ族の歴史・文化・伝統・風習を背景に、マオリ族の少女の素朴ながら確固たる信念に満ちた生き様を現実と幻想の混濁した映像美の中に淡々と映し出した“民族ドラマ”の異色作で、現代のマオリ族の生活風景や民族舞踊“ハカ”等の独特の文化伝統が興味深く映し出されていますし、主演の新星ケイシャ・キャッスル=ヒューズをはじめマオリの血を引く役者たちの素朴な演技に惹き込まれます。
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