ゴシちゃん

山桜のゴシちゃんのレビュー・感想・評価

山桜(2008年製作の映画)
4.5
藤沢周平の短編を映画化した、2008年公開の篠原哲雄監督作品  

レンタルDVDで10年以上前に一度観賞しておりましたが、昨年のBS放送を録画観賞いたしました。

以前、観た印象では少しサッパリしすぎという感じで、あまり記憶にも残っていなかったのですが、
今回はハイビジョン放送で画質もキレイになり、モニターも以前のサイズより大型であった事からか、こんなに良い映画だったのかと改めて見直してしまった次第です(笑)

若く夫に先立たれてから再婚はしたものの、あまり幸せとは言えぬ結婚生活を送る主人公(田中麗奈)
身内の墓参りの帰り道にあった満開の山桜
そこで偶然出会ったのは、以前結婚の申し込みを断った侍(東山紀之)であった・・・

俳優の演技と映像だけで、登場人物たちの心の動きまでもを語らせる、これでもかと言うくらい端正でみごとな演出
藤沢周平の短編を、映画的に少し膨らませながらも(殺陣の場面や農民たちのドラマ、そしてラストシーン等)
原作を壊すどころか、原作の奥の奥までを描いてくれたように感じました。

檀ふみ・永島暎子・そして最後に全部持って行ってしまうくらい素晴らしい寺島純子、3人の様々な母親たちの名演
冒頭の山桜での再会場面以降では、一切のセリフがない東山紀之の演技は特に印象に残りました。

「しあわせに決まった形はないんだよ。慎ましやかに、そして自分に正直に生きて行けば、そこに必ずしあわせはやってくる・・・」

もし藤沢周平がこの映画を観たら、原作者としておおいに喜んだんじゃないだろうか?

観終わって、そんなふうに思いました。
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