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シビル・アクションのakrutmのレビュー・感想・評価

シビル・アクション(1999年製作の映画)
3.3
実際にあった環境汚染に対する損害賠償訴訟をテーマとしたジョナサン・ハーの同名ノンフィクションを原作とする、スティーヴン・ザイリアン監督の社会派ドラマ映画。本作では、スティーヴン・ザイリアンが監督・脚本・製作総指揮のすべてを担当しているが、元々は脚本家として有名で、『レナードの朝』や『シンドラーのリスト』などを担当している。

残念ながら、それらの作品に比べると、本作は見劣りがしてしまう。扱っているテーマは大企業による水質汚染という興味深いものなのだが、出来事を表層的に追っかけているだけの印象が強く、被害を受けた住民の苦しみとか、勝訴するための証拠探しとか、住民側の弁護士の苦悩とかが描ききれていないように見える。裁判での攻防で見せる映画というわけでもなさそうだし、全体的に中途半端な感じは否めない。最初は報酬が目的でこの訴訟に首を突っ込んだ弁護士が正義に目覚めて資金繰りに困っていくというプロットは面白いだけに、ちょっと残念である。原作を大幅に単純化しているようなので仕方ないのかもしれない。

ジョン・トラヴォルタの弁護士役はなかなか良かったと思う。実年齢の割には若々しく見えた精悍な感じは結構好きである。一方で、ロバート・デュヴァルが演じた相手側の弁護人の、人を食ったような狡猾さはあまり好きではない。映画では良く見られる人物像ではあるが、個人的にはこのようなキャラが出てくると、いかにも作り物という感じがしてしまって、嫌なのである。突き抜けて強烈なキャラであれば、また別なのだが。
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