スワヒリ亭こゆう

無法松の一生のスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

無法松の一生(1958年製作の映画)
5.0
以前、何のバージョンだったかは忘れましたが『無法松の一生』は観ているんですけど、全然覚えてなくて、こんな良い映画を忘れるなんて💦
我ながら反省していると同時に映画の素晴らしさに浸っています。
『午前十時の映画祭12』では稲垣浩監督の『無法松の一生』を阪妻版とセルフリメイクの本作で上映して僕は三船敏郎が大好きなので本作を観に行きました。

この映画自体も面白いんですけど、作品の逸話も面白くて阪妻版の時は戦時中で検閲でかなりカットされたらしく、いわばリメイクというよりリベンジの様な作品です。
『無法松の一生』は『男はつらいよ』の元にもなっていて本作の主人公・松五郎(三船敏郎)は俥引き今で言うと人力車の車夫です。
で、車夫から車寅次郎という名前になり、実らぬ恋に身を捧げ、女の為に身を引く切ない男の映画を山田洋次監督は撮ったという訳です。
なので、この映画を観ていてこの映画の設定は明治から大正にかけて、公開時にも僕は勿論生まれてないんですけど、何故か懐かしさを感じる。昭和的と言ったらそれまでですが、古き良き日本の風刺が描かれているのが観てて楽しいです。

松五郎なんて「小学校が好きでよく遊びに行くんですよ〜」って、こんなオッさんは今なら速攻で捕まりますからね。

義理人情に厚く、カッコいい漢の話は観てて痛快ですし、泣ける話なのも良いです。
本作がヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を取ったのも海外の人にも分かる面白さを三船敏郎が演じているからでしょう。

祇園太鼓を叩いたり、運動会の徒競走に出場したり、頼まれたり他人のために頑張る松五郎が凄く魅力的な映画です。
観に行けて良かった!