地底獣国

フィツカラルドの地底獣国のレビュー・感想・評価

フィツカラルド(1982年製作の映画)
4.4
「アギーレ」の筏による急流下りで懲りたのか、今回の川下りはミニチュアを併用しております。

ですがご安心下さい(何をだ)、山越えのところはちゃんと本当に船を登らせております!いや、そこは登りもミニチュアにしとけよ!って思われるかもしれませんがそんな常識、狂人ヘルツォークには通じません。

何せ主人公のモデルになった人物は船を一旦解体して山を登ってるのにそこを変更して撮ってるわけで、つまりは「船が山を越える」ところを撮りたいがためにその前後のストーリーを用意したってことなんですねえ。繰り返しになりますが、マジで狂ってて最高です‼︎!

そんな非常識な映画の中心に立つのが御存じ?もう一人の狂人クラウス・キンスキー!過酷なロケで前任者が次々と体調を崩し、代打の代打として呼ばれたという経緯が到底信じられないハマりっぷり!

ここから得意の妄想に入りますが、キンスキー呼んだらヤバい事になると分かっていたので他の人(最初はジャック・ニコルソン)をキャスティングしていたのかも。

それが結局は呼ぶ羽目になってやっぱり大変な事になった(どのぐらい大変かというと、撮影に参加していた先住民が「あいつ殺っちまいましょうか?」ってヘルツォークに進言するぐらい)という…こういう時だけは「宿命ってあるのかも」とか思ってしまいます。

そんなわけでこの映画、できるだけ大きなスクリーンでご覧になって毒気に当てられていただくことをお薦めします。そしてこんな狂った話におよそ似つかわしくない粋な終わり方にほっこりしていただければ幸いと存じます。
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