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それいけ!アンパンマン ばいきんまんの逆襲のmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.6
バイキンマンが逆襲するって言うからそれは観ないと。

“メコイスの壺”。なにやらいかにもな壺、登場。

冒頭からいつも通り、暴れまくっても容赦なくアンパンマンに返り討ちのばいきんまん。

ばいきんまんの師匠、ばいきん仙人に傷の手当てを受けながら聞く、その“メコイスの壺”の話。
その壺を善良な者が使えば清い世界に作り変えられる力があり、悪き者が使えば世界を征服できると呼ばれる壺。

ばいきん仙人、逆にばいきんまんを使って壺を手に入れ、自分がばいきん帝国の帝王になるという野望を打ち立て、ばいきんまんは壺を取ってくると言いながら打倒アンパンマンを打ち立てる。

その壺を巡って、、、と思ったら意外とあっさり見つかる。
そこから“ばいきんまんの逆襲”が始まる。さすが“逆襲”。今回はばいきんまんのターンが長い。良いね。

今回のゲストキャラはなんと人類の女の子。
よくよく考えると、アンパンマンの世界に普通の人類の女の子ってなかなか珍しいんじゃないか。

必ず何かをモチーフにしたキャラクターか別の世界や星のキャラクターが定番のこの劇場シリーズ。

ヤーダ国の“ヤーダ姫”。何か聞いたことある。
90年の映画だから、実は結構世代がピンポイントで合ってるから小さい頃に観てる可能性あるな。

このヤーダ姫。謎の1人乗りの白い羽付きホバーに乗ってて小さなアライグマと行動を共にする。
これ、、、、『風の谷の〜』の、、、、あの、、、、彼女と、、、同じ、、、それもまた同時代だからそういうアレもあるのか。

しかしながら、壺を奪取したばいきんまん、なかなか壺を開けられない。
「ぐぬぬ、、、」とあれやこれやと壺をこじ開けようとしても開かず、そうこうしてるとヤーダ姫とアンパンマンが駆け付けて獲った獲られたの奪い合い。

この頃はまだ往年のキャラの出番が多くて良い。
てんどんマン、かまめしどん、かつどんまん。
この三位一体の掛け合いがにぎやかで良い。

彼らはほぼほぼ攻撃力ゼロのキャラだが、印象に残る賑やかなお笑い力はなかなか高い。かまめしどん腰が抜けるとか、3人で「いざっ!」とか言う割に何もできずにいちいちリアクションが大きいから笑える。素敵なトリオ。

トリオといえばこのシリーズ屈指の最強ハイオフェンスのトリオ、三銃士。アンパンマン、食パンマン、カレーパンマン。こっちも登場。

なんかわからんけどこの丼ぶりお笑いトリオの後に出てくる三銃士がカッコよく見えて仕方がない。

それでもこの映画は“ばいきんまんの逆襲”。
いつもどおりパッと出てきた三銃士のやられるばいきんまんではない。

だから、今回はばいきんまんのしぶといし、彼がしぶといからアンパンマンらの活躍やあの手この手で出てくる他のキャラの見せ場も多くて面白かった。

挙げ句の果てにはもうばいきんまん、あまり観たことないインフレが起きる、、、“ドラゴン”、、、。
すごいなこれは。

すごいけど、いつだってそれに臆することなく立ち向かうアンパンマンもスゴい。

なんか今回はこのバトルも結構熾烈を極める。
かなりスケールがデカい。
あんぱんまん、顔がふやけるし、マントもボロボロで飛べなくなるし、文字通りギッタギタにのされる。

やるな、“ばいきんまんの逆襲”。最後の魔王、ここで出てくるのか。これは、、、ヤバい。
これに対してここまでのキャラ総出みたいなみんなでアベンジャーズみたいになるのも見どころ。

しかし、ジャムおじさんもすごい。
「あっちが風なら、こっちも風で勝負だ」と。
同系統の属性勝負を真っ向から受けて立って活路を見出すジャムおじさんの男気。
さすがアンパンマンの生みの親。ただのパン工場のおっさんではない。

最近の劇場版も何作か観てるけど、どうしてもキャラの多さと最近の風潮で、誰もそこまで瀕死になったり、悪どくならな過ぎない傾向があるが、この頃の映画はそうではない。

なによりヤーダ国の「ヤーダ、ヤーダ言い過ぎて、、、」という驚愕の展開もあり、ばいきんまんももはやばいきんまんではなく、イカつい恐ろしい魔王と化すし、そこそこ絶望感があり、そこから少しずつ勝ち獲る希望のカケラ。

ばいきんまんがしぶとければしぶといほど、決して諦めないアンパンマンと仲間たちの不屈の精神が際立つ傑作ではないか。


F:1960
M:536
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