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不良少年のbrianのレビュー・感想・評価

不良少年(1961年製作の映画)
3.9
以前テレビで少年院の様子を映した番組を見たことがある。当然ながら少年たちの顔にはボカシが入っている。一生懸命に作業をする姿には感銘を受けたものだ。これは犯罪の抑止力にも繋がるのではないだろうか。少年法の影響かプライバシーの問題かわからないが、このような番組がなくなった。最近は当たり障りのない情報番組が目立つ今日この頃。

主人公の少年を通して少年院での生活を描いたドキュメンタリー・タッチのドラマ。
院内では先輩と後輩の関係があり虐めのシーンをリアルに映し出していた。かと思えば作業を丁寧に教える優しい先輩もいる。
ある少年が隠し持っていた白い粉を使いタバコを作る工程には驚いた。もちろん監視カメラがなかった時代だ。
登場人物は俳優経験がないので台詞の棒読みは仕方ないが逆に真実味があり同じ目線で見ることができた。
少年院を退所して社会復帰を目指す少年の後ろ姿で映画は終わる。真っ当な人間として生活する者もいれば再び罪を犯す者もいるのが世の常である。

音楽は昭和の映画音楽に欠かせない作曲家・武満徹。哀愁を帯びたギターの音色が堪らなく切ない。

初めての羽仁進。映画監督というよりもテレビ番組に出演する物腰が柔らかいタレントのイメージがあった。今作品は不良少年たちの姿を優しく見つめ、社会に対して厳しい視線を浴びせていた。



「不良少年」(1961)予告編 🔪
https://youtu.be/VP-vNnC9TJA
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