『わたしを愛したスパイ』でようやく普通の軌道に戻りかけた007シリーズが、またもやあらぬ方向へコースアウトしてしまった007シリーズ11作目。
なんたって、今回のボンドは宇宙へ行く!
70年代後半と言えば『スターウォーズ』『未知との遭遇』『エイリアン』というSF映画の金字塔が次々と生まれた時期で、それに引っ張られたってのは容易に想像できるんだけど、やっぱりジェームズボンドに宇宙は似合わないんだよなぁ。誰が007シリーズでレーザーガンをピュンピュン撃ち合うシーンがあるなんて予想するだろうか。
まぁ、宇宙へ飛び立つまではふざけつつも割と真っ当な流れで、冒頭のスカイダイビングアクションとかベニスでのボートチェイスとかはなかなか良かった。ボートのまんま陸に上がってそのまま走り続けるボンドに街中が騒然となるところは結構笑えた(二度見するハト!)。宇宙ステーションとかのセットもなかなか精巧に出来ていて、今まであからさまにチープだったセットに比べるとかなり進歩しているように思えた。
ただ、やはりふざけ過ぎ?と思うところもあって、敵の刺客が日本なんて一切関係ないのに和服で竹刀をぶん回していたり、前作の敵ジョーズがまさかの再登場を果たして、更には途中で出会った女の子といい感じになったりとやりたい放題。この二人が印象強すぎるせいで、敵の大ボスがどんな奴だったかも忘れかけてたよ。
ところでタイトルの『ムーンレイカー』、イギリスの言葉で「アホ」という意味らしく…。アホってあんた。
(2015.105)