キミシマユウキ

007/ムーンレイカーのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

007/ムーンレイカー(1979年製作の映画)
3.1
アメリカからイギリスに空輸中のスペースシャトルがハイジャックされる。早速ボンドは調査のためにカリフォルニアに向かうが…

テレッッッッテー♫テレッテー♫テレテレ♫

超長寿シリーズの新作「007 スペクター」にむけて過去作全作鑑賞シリーズ第12弾!
今回はこの作品の二年ほど前に「スターウォーズ」が爆発的に大ヒットし、SFブームが起こっていたせいか、荒唐無稽でめちゃくちゃなSFスパイコメディ映画のように様変わりしているぞ!!

ボンド、宇宙へ行く。

もうこの一言で片づけていいんじゃないか?(笑)
正直自分の肌に合わなかったというか、古くから伝わる超正統派スパイ映画がこういうテイストを試してしまったことに少し残念な気持ちになってしまった。レーザー銃は出てくるわ何やらで突っ込みどころは満載だがよかった部分ももちろんある。
前作同様オープニングのスタントシーンはど迫力だ!
CGどころかVFXも使ってないらしくパラシュートを開くまでの敵とボンドの攻防戦はかなり燃える。さらに前作で出てきた濃ゆい敵キャラ鋼鉄の歯を持つジョーズまで現れて熱い展開だ。そのジョーズ、かなりの人気キャラになったらしく前回まで冷徹な殺し屋だったが大分キャラが三枚目になりついにはおいしい展開まで待っている。これにはニヤリとさせられた。

今回の秘密兵器は時計から出る青い鋼鉄のダーツと赤い猛毒のダーツ!うん、便利だ!
そしてボンドカーは…今回お休み!しかしゴンドラとボートは登場するぞ!(笑)
その他はCIA所属のヒロインが結構恐ろしい装備をポンポンと持っていた!

主役のロジャームーアを見ていたらふと、気づいた。
「あれ?ムーア結構老けてきてない?皺が…」
そろそろムーアのコミカルなボンドにも飽きてきたのかもしれない。
ヒロインは今回珍しく恋人もち。というか007シリーズの女性って結構冷遇されることが多い気がする。今回もなんか途中で犬に食われてる人がいたような…(笑)
敵の中に日本人キャラも登場。007シリーズちょいちょい日本を取り扱ってくれるがなんだか馬鹿にされた気分だ。
「ドォォォォーーッッウ!!(胴)」
と叫びながら(面)を繰り出す彼には剣道経験者は爆笑をこらえきれないだろう。
MVPは満場一致でジョーズ君でしょう。異論は認めます。
そしてサラッと1作目から登場しているM役バーナードリーは今回が最後。次作撮影前に死去してしまったらしい。個人的には
「『ムーンレイカー』最後でいいのか?」
という残念な気持ちである。

宇宙の描写などしっかりらしくできていたしいつも通りのボンド映画といえばたしかに問題ないのだが、なんだか個人的には気に入らない今作。
”お気に入りの洋風老舗レストランが新メニューでざるそばを導入”
みたいな気分である。わかっていただけただろうか(笑)

スパイ映画好き、ロジャームーアボンドのファン、そして英国諜報員がレーザー銃を手に取り宇宙で大立ち回りを繰り広げるのを見たい方にはお勧めの作品。