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アウトローのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

アウトロー(1976年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

南北戦争の最中のミズーリ州。北軍の名を借りたならず者集団が、各地で暴行・略奪を繰り返していた。彼らに妻と息子を殺され、重傷を負った農夫ジョージー・ウェールズも、彼らへの復讐のために集まったゲリラ部隊に加わって北軍と戦い、その早撃ちを知られるようになっていく…。

クリント・イーストウッドが、十八番であるクールな一匹狼の凄腕ガンマンを演じるのだが、マカロニウェスタンでお馴染みの賞金稼ぎの流れ者と違い、家族の復讐を果たすという目的に人間らしい感情が感じられる作品。
ロードムービー的な西部劇の秀作である。

南軍ゲリラ部隊に加わり、仇を求めて北軍との戦いの日々を送るが、やがて南軍は敗戦して戦争は終結。
ジョージーのいる南軍部隊の指揮官フレッチャーは部下たちに投降を勧めるが、罠にハマり、北軍を騙るジョージーの仇に虐殺される。

前半は主人公の復讐心の強さを見せるため、地味で暗く重い描写が続くのが難点。
なりふり構わぬ姿と苛立つように吐き捨てる唾に、汚らしい荒くれ者のような印象すら受ける。
しかし、物語が俄然面白くなるのは後半から。
もしかしたら、そのコントラストがイーストウッドの狙いなのかもしれない。

家族だけでなく、仲間も殺され、必ずや復讐してやると、孤独なアウトローとなるジョージーは、北軍からの恨みを買い、お尋ね者として追われる身となる。

(史実かどうか分からないが)単身さすらう彼のもとには、「なぜか」社会から疎外された者たちが吸い寄せられるように集まる。
道中、知り合ったインディアンの老人や娘が道連れとなり、さらに暴漢から助けた老婆や若い娘が仲間に加わり、擬似家族が形成されていく。
ご丁寧に従順な犬までついてくるのだ。
ジョージーの早撃ちという武力に頼り、お互いに身を寄せ合って旅をしていく中で、ジョージーの心がほぐれていく。

いつしか旅の目的地は老婆の亡き夫が残した土地へ。
口うるさい老婆もジョージーを信頼するようになり、このまま復讐など忘れ、新天地の開拓者となってしまうのも悪くないのでは…?、と思えるほど、彼らの関係性は微笑ましいモノとなっていく。

だが、ついに憎い仇である無法者たちが、その土地へとやって来る。
ジョージーは皆を巻きこまないよう、1人で戦おうとするが、銃撃戦の際にはインディアンや老婆まで加勢して一致団結。
おかげで敵を全滅できた。

後始末に、今やジョージーを追跡する正式な捜査官にとなった元上官のフレッチャーは、酒場でジョージーと対面しながらも、見なかったことにして「ジョージーは死んだ」と報告しに去っていく。

家族を惨殺された恨みを持ち続け、追われる身となったジョージー。

戦争の悲劇には、もちろん反戦のメッセージがある。(公開当時はベトナム戦争の影が色濃い。)
彼と出会い、奇妙な絆で結ばれる新しい家族には、弱者やマイノリティへの温かな視線が感じられる。
そして、新しい家族もジョージーを決して見捨てたりはしない。
復讐というの負の連鎖に囚われていた者が、心の解放と自由を得る。
爽やかとは言いがたいが、後味は良い。

アクションにユーモアや人情味を交え、コワモテだが実は優しいイーストウッドのツンデレな魅力が、ハッキリと打ち出された作品である。
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