マツモトタクシー

いわさきちひろ 〜27歳の旅立ち〜のマツモトタクシーのレビュー・感想・評価

3.8
ずっと前から観たかったドキュメンタリー
U-NEXTに届いていたので鑑賞📺



海南友子 監督作品


いわさきちひろ

絵具を滲ませて輪郭が曖昧な作風が特徴的な絵本作家

彼女の事を知らなくても偶然見掛けた子供の絵を観て癒されたりホッと一息付いたという方は多いのかなと思う☺️

彼女の作品は知っていたが一体どんな方だったんだろうとずっと興味があった
この作品で彼女の人となりを知ったけど中々に波乱万丈だった



三姉妹の長女として育ち裕福な家庭なので絵画等も習わして貰えたが当時は女が画家なんてという時代
本格的に画家を目指そうとすると両親からの猛反対にあい早々とお見合いで結婚させられる
当時の世相では親の云うことは絶対3、4回顔を合わせて即祝言というのも珍しい事ではない
しかし繊細で潔癖なちひろは絵画を止めさせられた事もあり徐々に精神を病んでいくのだった。。

当時、中国を統治していた日本
ちひろの夫は満州国、大連で働いていてそこへ向かう事になるが前日まで連日、嘆き悲しんでいたとか。。

中国に渡ったちひろだったが夫の事が好きになれず、かといって親にも反抗出来ない自身にも嫌気がさし益々鬱状態へ
中国での生活で旦那から抱かれる事を拒否し続けそれは2年に及ぶ
そしてとうとう打ち解けられなかった夫は首吊り自殺
処女のまま夫の遺骨を持って日本に帰る事となる。。


その後は27歳で一念発起して上京
2番目の夫となる松本善明と知り合い意気投合して結婚しようとするが7歳差とバツイチという事もあり松本の両親から猛反発を受け下宿の自室で2人だけの式を挙げる
やがて一人息子の猛を出産する
彼女の絵に出てくる男の子は殆んどこの猛がモデル👨

夫は司法試験に合格し弁護士となるが弱い立場の人達を救いたいと余りお金になる仕事は少なかったとか。。
その分ちひろが頑張って家計を助けるのだった

晩年はベトナム戦争が始まり心を痛め猛が反戦家で活動していた事もありちひろの挿し絵に猛が文章を添える形で反戦の書を共著


また当時は描かれた作品は作者の物という意識は全くなく提出された地点で出版社の物という意識が強かった
当時は漫画家等も一緒で掲載の終わった作品は勝手にハサミで切ってコマを読者にプレゼントしていたそうです✂️😅

ちひろも挿し絵を真っ二つにされ抗議したとか。。
夫が弁護士なのも功を奏し二人三脚で著作物の権利を主張しそのお陰で他の作家の作品も残っているし自身の作品も大多数が残っている



今回、見終わって1番感じた事は最初の結婚をしていた時代
自殺した最初の夫は本当にちひろの事を好きだったんじゃないのかなと感じた事でした

当時だと無理やり妻を犯しても罪にならない時代
でも夫はきっと気が変わると強引に迫るのではなくずっと待っていそうです
しかし病んでいくちひろを見ていて、このままでは彼女が死んでしまうのではないか❓そう察知した夫は先に自害した
そういう風に感じてしまう悲劇だなと思いました😢