エリオット

女の一生のエリオットのレビュー・感想・評価

女の一生(1962年製作の映画)
4.5
溝口健二&増村保造映画祭にて

これまで京マチ子といえば美しいがキツくて怖くて恐ろしいというイメージだったが(中学のときに見たドラマ版「犬神家の一族」の影響大!)本作の京マチ子はもちろん強いのだが男勝りに頑張れば頑張るほど空回りでひたすら哀しい女性の人生を印象的に演じていて初めて好きになった。

増村保造もどちらかといえば「妻は告白する」や「清作の妻」のように自分の情動のままに突っ走る女性を描く作家と思われがちだが、本作では自己の内心より義理や家というものを優先する主人公の哀しいが最後はやや前向きな「女の一生」を描いていており「美貌に罪あり」などとともにこの系列の作品でも素晴らしい作品を残していることが確認できた。

そしてなんといっても登場人物たちが感情をストレートにぶつけ合って逃げ場がなくなっていく感じとかまさに増村の映画で、そこが見ていて苦しいけど嬉しかった。

「偽大学生」と並んでなんとかソフト化してほしい一本。
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