映画おじいさん

花のお江戸の法界坊の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

花のお江戸の法界坊(1965年製作の映画)
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ズラ丸だしのオープニング小芝居からひょっとしてと思ったけど、ファンタジック・コメディに落とし込んでいくデタラメ映画で楽しかった。
久松静児の駅前シリーズとかはまるでダメだったけどこれは好き。これが遺作とのこと。

歌舞伎『法界坊』がたぶん原作。歌舞伎に関しては無知なので。

座頭市のモノマネが少し面白いくらいで、小学生でも笑わないような幼稚な下ネタみたいなのとかばっかりで、挙句は物語のまとまりさえなくなって、やっぱりかと思っていたら、フランキー堺が井戸に落ちてからの終盤にエンジンがかかる。

後から継ぎ足したような、要は思いつきのような展開になって凄く良い。観ている方まで、まとまりなんて余計なくらいだという気持ちになった。そんなのは私だけか。

安い特撮(?)も個人的に大好きだった80年代の香港ホラーコメディみたいで画的に楽しかった。

フランキー堺が死んだかどうかもどうでも良くなり、取って付けたような鼠小僧エピソードとか最高じゃありませんか。原作にあるのかもだけど。
繰り返しになるけど、久松監督、それまでのコメディは凡作が多かっただけに、これが遺作とは勿体ない。。

こんな併映コメディのような作品にまでまとまりとか映画的なこととかを求めるどうしようもないシネフィルの評価は低いに違いありませんが、コメディとしては絶対面白いと思います。