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砂丘のadeamのレビュー・感想・評価

砂丘(1970年製作の映画)
2.5
60年代に三大映画祭を制覇して世界的な巨匠となったアントニオーニの70年代一作目。
前作「欲望」に続いて全編英語であることに加え、資本もロケ地もアメリカとなった意欲作です。
しかし内容的には、若い男女が社会や権力の抑圧に反発し、楽園的であると同時に破滅的な逃避行を繰り広げる物語で、当時流行のニューシネマを模倣しているような印象を受けてしまいました。
それが悪いわけではないのですが、意欲的に思えた挑戦がマーケットを広げようという試みに感じられてしまうのは残念でしたし、何より物語としての退屈さは否めませんでした。
ただそれ以上にアメリカの大量消費社会に対するイタリア人アントニオーニの皮肉のこもった視点が印象的で、終始看板を映してイジり続けるしつこさが良かったです。
そしてそれは有名なラストで見事に炸裂するわけですが、後半の家財道具や洋服の部分がそれだけでモダンアートとして成立しそうなカラフルで素晴らしいスローモーションだったので、前半の邸宅の部分は一回だけの方が良かった気がしました。
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