篠村友輝哉

砂丘の篠村友輝哉のレビュー・感想・評価

砂丘(1970年製作の映画)
4.5
閉塞感を打ち破りたい衝動を抱えながらも、革命を掲げて過激に運動することにも、抽象的な議論に熱中することにも加われない者の寄る辺なさ。砂地のように渇いた荒涼とした世界で、砂にまみれながらも愛を交わし孤独を埋めようとする者たちの姿はしかし、美しさに満ちている。この世が砂地であることを知らない者たちを偽りの潤いに満たしている物が、こっぱみじんに砕け散ることを夢見ながら。
中盤の砂丘での濃密な情交と、最後の、富の象徴が砕け散ってゆく映像があまりにも素晴らしかった。
篠村友輝哉

篠村友輝哉