odyss

紅の流れ星のodyssのレビュー・感想・評価

紅の流れ星(1967年製作の映画)
3.0
【渡哲也の若かった頃】

渡哲也がデビューして2年くらいの時期の映画。浅丘ルリ子と共演しています。

渡は東京で対立するヤクザの親玉を殺して神戸に逃げ、そこでのらりくらりすごしているうちに殺し屋(宍戸錠)に付け狙われるようになる。他方、別の事件で殺された婚約者に関する情報を求めて浅丘ルリ子が東京からやってきて、二人は出会う。渡には同棲している女がいたけれど、もう飽きていた。浅丘の美しさに惚れた渡は、彼女の相手をしてやり、そのうちに殺し屋と対決して相手を殺してしまう。マニラに向かう船に浅丘と一緒に乗って逃亡しようとするけれど・・・・というような筋書きです。

見どころは渡の人を食ったような、のらりくらりとした立ち振る舞いでしょう。昭和30年代の日本映画にはこの手の、ヤクザか不良ながら虚無感を抱えて足が地についていないようなキャラクターがわりによく出てきていて、ヤクザ映画における鶴田浩二や高倉健の生真面目なキャラクターとは一線を画するものですけれど、1967年(昭和42年)に作られたこの映画での渡の役どころは明らかに古いほうを向いています。ただし、古いほうがモダンなんで、そこが日本映画の歴史を考えるときに面白いところだろうという気がします。

浅丘はこのとき27歳。渡より1歳年上なだけですが、俳優歴で言うとはるかに長いということもあってか、数歳年長に見えます。相変わらず美しいのではありますが、ここではもう少し陰のある女の役のほうがよかったような。
odyss

odyss