タツベイ

風たちの午後のタツベイのレビュー・感想・評価

風たちの午後(1980年製作の映画)
4.2
儚く、痛く、不自由な愛の形。
絶えず打ちつける水の音は
歯止めの効かない感情が
行き場なくぶつかり続けるように
生活の中にただただ哀しく響き渡り
頭から離れない。


「三月のライオン」を観る前に観賞。
1980年、LGBTというものが
浸透していない時代の中で
当時まだ20代の矢崎監督が制作した作品。
著作権の問題で日の目を見なかった映画が
40年の時を経て、世に出てきたようです。
とにかく声が小さくて少しイラっとしたけど
監督のこだわりなら仕方ないか。
「観ることを強いる映画」ってゆう尖った考えは
嫌いじゃないな〜と思ったので。

夏子と美津、2人の女性のの話。
美津には恋人がいるが、夏子の感情は増すばかりで、
あらゆる手段で美津を独り占めしようとする。
美津の恋人、夏子の同僚も巻き込んで。
八重歯を出して笑う夏子の瑞々しさ、
真っ直ぐに美津を思う気持ちが生んだ結末に胸が張り裂けそうな気持ちになる。
100%夏子に感情移入できるかと言われれば
全くそうではないけど。
「動機が愛ならやっちゃいけないことは
 何一つない」
監督はずっとこの考えを大切にしてるようです。
芯のある素敵な人やなあ、と。
タツベイ

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