フラワーメイノラカ

裸足のピクニックのフラワーメイノラカのレビュー・感想・評価

裸足のピクニック(1993年製作の映画)
4.3
いまのキミはぴあぴあに光って

現代日本を代表する映画監督・矢口史靖の長編デビュー作。
平凡な女子高校生・鈴木純子が次々と不幸に襲われる。
監督の鈴木虐のはじまり。

自主映画出身ということもあってか、結構容赦ない加虐。
でもちゃんと黒い笑いに落とし込んでるあたり、この頃から隠しきれないセンスを感じる。
ミュージシャン陣の配役は若気の至りに思えなくもないけど、悪意すらも瑞々しさに変えてしまう勢いがある。

何よりも芹川砂織のコケティッシュな、あどけないふてくされた表情。
日本一の薄幸さがどうしようもなく可愛い。

『小さな泥棒』(1988)のシャルロットは承認欲求を満たしてくれる非現実を求めていた。
対して、本作の純子は今までの現実、家庭に帰ることを願う。
エレクトーンで爪弾かれる、ノスタルジックで切ない練習曲。

喫茶店でバイトしていたところをスカウトされ、映画そのままに雑踏へと行方をくらました彼女。
16mmに焼き付けられた姿が、残像となって迫ってくるエンディング・ロール。
あの曲のりんかくを一寸、思い出したりしてみた。

「まれにみる、ふこうなおんな」ーー
裸足で目の前を走りぬける
ーー例えばあの子は、透明少女