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復活のkojikojiのレビュー・感想・評価

復活(2001年製作の映画)
3.8
 ロシアの文豪トルストイの
  「戦争と平和」
  「アンナ・カレーニナ」
と並び称されるの本作を
「父 パードレ・パドローネ」(77)
の監督パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟が撮った文芸超大作だ。

 私は中学の時にこの映画の前に撮られた映画を観て感動し、その後原作も読んでいる。多分その作品は1962年版ロシア映画だと思う。
 明治、大正、昭和初めの日本人が愛した悲恋だ。悲恋ものの映画はたくさん観たきたが、この映画はなんとなく最後がスッキリしなかった。何故別れる必要があるのだろう。それがずっと心に残っていた。
 今回、この映画を観て全て納得した気がする。歳は取ってみるものだ。


#1387 2023年 419本目
2001年 イタリア🇮🇹/フランス🇫🇷/ドイツ🇩🇪映画
監督 / パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
キャスト:
ステファニア・ロッカ(カチューシャ)
ティモシー・ピーチ(ネフリュードフ)

ここからはネタバレ⚠️注意


 まず、納得していなかったカチューシャの気持ち。
 彼女は彼を過去から解き放ちたいと思ったのだ。と同時に、彼女もネフリュードフに対する思いはあるものの、自分自身をも過去からの解放したいと思ったのだ。これまでの愛と恨みの辛い暮らしから自分を解放したいと思ったに違いない。
 ネフリュードフとの最後の抱擁と吹っ切れた彼女の笑顔がこの思いを表していた。

 一方のネフリュードフは、この別れを受け入れていない。ラストは1900年に突入するその年の暮れ。ネフリュードフは当てもなく雪の中を歩いているとポツンと灯りがついた農家に辿りつく。
 農民は彼を祝いの席へ案内する。新世紀を迎える祝いの席だ。
 年が明ける。恋人達はキスをして祝っている。
 一人の農民が彼に聞く。
「旦那は新世紀に何を祈念する?」
しばらく考えて、ネフリュードフは答える。
「人を愛すること」
彼が自分の犯した人間として許されない罪。その償いに、もがき苦しんだこの数年。自分が弄んで妊娠させ、娼婦まで転落させたカチューシャが無実の罪で投獄、その裁判に偶然陪審員になり、有罪にしてしまう。控訴の失敗そして流刑。
彼が行き着いたその先はあるのは「愛」による救済だったのだ。

と、思いました。どうでしょう?
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