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道中の点検のbluetokyoのレビュー・感想・評価

道中の点検(1971年製作の映画)
3.5
戦争スペクタクルというほどではないが、なかなかスペクタクルなシーンがある。戦争に翻弄される一人の男を描いている。結局、なにが言いたいのかわからんが、人間は、善悪、イデオロギー、主義主張、宗教では、割り切れないということだろうか。ソビエト政府から上映禁止処分を受けたが、それは、ナチスに協力したソビエト軍兵士が存在したことを描いたからだ。

簡単にあらすじ。
第二次世界大戦、独ソ戦である。ロコトコフ隊長の率いるパルチザン部隊に、ラザレフという男が投降してきた。
なんでも、最初は、ソビエト軍の伍長だったが、ナチスに寝返って、駅や鉄道の警備をしていたが、さらに寝返ってきた、ということだ。

だが、裏切り者呼ばわりをされ、あるいは、スパイを疑われるばかりであった。

ロコトコフ隊長は、ラザレフを試すということもあり、さらに、まだ、ナチスには、ラザレフが裏切ったということは知られていない(休暇届を出している)ということで、ナチスの軍用車両の襲撃の部隊に参加させた。
ナチスの軍服と身分証を奪うためである。

見事に成功したものの、ソローニンという男が、反撃にあって射殺された。

どさくさに紛れて、ソローニンを射殺しただろうと、ペトゥシコフ少佐は疑い、ラザレフを逮捕拘留するのだった。

ナチスの軍服と身分証は、貨物駅に潜入して、食料を積んだ貨車を奪うためなのだが、その部隊にラザレフを参加させた。
ラザレフを試すことと、その貨物駅は、ラザレフが勤めていた職場だったからだ。

ラザレフは見張り台の兵士と顔見知りだったので、世間話をして、注意を逸らした。うまく、部隊は、貨車を奪うことに成功した。だが、途中でバレてしまい、兵士が駆け付けてきた。

ラザレスは、見張り台に設置された機関砲で援護した。貨車は、駅から脱出したがが、ラザレフは、反撃にあい、脱出できずに死亡した。

その場その場で生きることに精一杯の人間にとって、イデオロギーはどうでもいいのである。生活こそ大切なのだ。

ナチス討伐隊が、パルチザン部隊の拠点になっている農村を攻撃するシーンや、最後の、ラザレフが見張り台から機関砲をぶっ放すシーンは、迫力がある。本当は、脱出する貨車に、ラザレフは飛び乗る手筈なのだ、力尽きてしまうのだ。それがなんとも物悲しい。
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