Jeffrey

続・世界残酷物語のJeffreyのレビュー・感想・評価

続・世界残酷物語(1963年製作の映画)
3.0
「続・世界残酷物語」

本作はグァルティエロ・ヤコペッティが1963年にイタリアで監督した問題作の第2作で、過激さが更に増しており、世界の変わった奇習や風習を描き、世界的ブームを巻き起こしした「世界残酷物語」の続編で、前作の大ヒットを受け、主に前作で未使用だったフィルムを使って急遽制作されたものになる。当時監督本人は交通事故で入院中であり、クレジットに名前はあるものの本作にほとんどノータッチで、実際に本作を監督したのはパートナーのフランコ・プロスペリティと言われている。お家芸であるヤラセはさらにエスカレートし、有名なサイゴンの僧侶焼身自殺シーンではこれは再現フィルムではないのか?との疑惑、論争まで起こす事態となった。そうした本シリーズのやりたい放題的事実捏造は、ヤコペッティ・モンド映画の最高峰であり問題作である次回作「さらばアフリカ」でその頂点を迎えることになる。

このたび、BDボックスがキングレコードから発売されて一気に3シリーズを見たがすごい内容である。収録されているエピソードはどれも興味深く、声帯を切られる犬に始まり世界カツラ事情、世界警官事情、メキシコの風変わりお菓子と虫文化、ハワイの泥風呂、牛のフンで作ったマサイ族の家、世界人妻事情、キス売ります、世界信仰事情、衝撃!修行僧の焼身自殺、マガディ湖のフラミンゴ、物乞いと雨乞い、文明社会のミイラ、石頭コンテスト、人間打楽器コンサートなどイカれ具合が半端ないのである。イタリアでは犬はファッションの1部として使われており、ブランドの服を着飾るモデルたちがランウェイを犬のリールを引っ張りながら観客に見せるのだが、犬が全く歩きたがらずに引きずられているシーンは笑える。それと桂ブームがあって、イタリアの女性は髪の毛を強制的に切らさられる場面で悲しそうな女性たちの表情が印象的である。桂産業イタリアでは好調だったらしい(当時)。

あの本物の拳銃で人間を的にして撃つのはハラハラドキドキもんで、メキシコの人体をかたどった入れ物で裏切り者のユダを試食する場面とか悪趣味すぎる。どうやらメキシコでは死者は愛されるが裏切り者のユダは愛されないらしい。それとメキシコ人がトルティーヤの中にハエみたいな虫をたくさん入れてそのまんま口にほおばる場面とか本当にビビる。子供たちがおいしそうに食べてるから本当にスゲェと思うよ。昆虫が苦手な自分にとってはマジで拷問レベルだ。そもそも、メキシコの宝石とかでも虫をかたどったものがあるため、その国では虫は重要視されるらしい。しかも生きてる虫にダイヤをつけてそれをペンダントやブローチ代わりにして販売しているのだから近未来すぎる(笑)。そして女の集団ヒステリーをとらえた場面で、火だるまになったり膝で地面を歩くため、膝が血まみれになったりする場面も痛々しい。


それからインド人が火の上を裸足で歩く場面など、あの儀式は日本の根性焼きみたいなものなのか、そうじゃないのかよくわからない。痛みを我慢した勇者的な感じなのだろうか…。いや、いつ見てもベトナムの僧侶が火だるまになる場面は強烈すぎる。NHKの映像の世紀やベトナム資料なのですでに繰り返し目にはしているが、やはり久々に見ても強烈だ。最も苦しい自殺の方法だろう…。そしてイギリスの有害物質を海に垂れ流したことにより、フラミンゴがどんどん死んでゆくあのシーンは印象的だ。あんな、歩けなくなって、バタバタと倒れ込むのは辛い。この作品のクライマックスはもはやわけわからない状態になっている。
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