幕のリア

1000年刻みの日時計 牧野村物語の幕のリアのレビュー・感想・評価

4.1
日本のドキュメンタリー映画の洗礼が「ゆきゆきて神軍」であるという方は多いだろう。
かく言う私も、評判が評判を呼んだ公開数年後に大阪のミニシアターで衝撃を食らったくち。

疾走プロダクションの原一男に流れる小川プロダクションのDNA。
山形国際ドキュメンタリー映画祭の礎となった小川紳介。

近年小川プロ作品のDVD化が進み、ようやく本作を初めて見るに至った。
本作の公開年は奇しくも神軍と同じ1987年。
ちっとも知らなかったし、信じ難いビンテージ臭が漂う。

13年もの時間をかけて、古の時代から農耕を営む村の悠久を捉えた超大作。
俳優によるドラマパートをも挟むが、なんの誇張も大袈裟な演出も無いのに、画面から溢れ出る魂の強さに目が離せない。
四時間近い作品は流石に小分けに見たものの、昨年見たラヴ・ディアス作品をふと想起してしまうのだった。

三里塚闘争作品群などは、どうにも食指が伸びにくいが、私のような軽輩が一作見ただけで小川プロダクション作品を語るのはあまりに恐れ多い。

240年前の一揆とその後の裁きを村人全員と田村高廣、石橋蓮二、河原崎長一郎にて再現したシークエンスは、情念が妖しくトグロを巻くようだ。

作品に携わった村人全員がブラスバンドの生演奏に合わせ行進するエンディングが真っ直ぐな感動を誘う。

〜〜

字幕をもってしても、翻訳無しではほぼ理解出来ない、山形弁の浮世離れしたお話に愕然とした。
幕のリア

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