トシオ88

シシリーの黒い霧のトシオ88のレビュー・感想・評価

シシリーの黒い霧(1962年製作の映画)
3.6
イタリー🇮🇹シチリアに実在したサルヴァトーレ・ジュリアーノの謎の死を描く作品。
主人公は第二次大戦後、シチリアの独立自治権を求めて公然と中央政府に楯突いた人物。純粋な独立運動の筈が、社会主義集会の一般市民虐殺事件などを経て、マフィアや憲兵隊との灰色の関係を深めていき、やがて謎の射殺死体で発見される…。

モノクロの画面に焼き付く強烈な地中海の日差しの下、南イタリー・シチリアの小町の貧しい生活と、そこに蠢くゲリラ、警察、マフィアの黒い思惑。時系列が複雑に入り組み、事実に即した徹底したリアリズムのストーリーは緊張感半端なし。
やがて裁判にて明かされる事実…それすらもまたヴェールで隠されていく☠️。マフィアはぼんやりと曖昧に描写されるが、映画制作時はまだ不可侵の存在だったのかもしれない😨

その昔、シチリアに行った際、ありとあらゆる場所に武装した兵士が哨戒していて、ローマと異なる緊張感を覚えた事を思い出す。本作は現代イタリーの今に至るまで厳然としてある南北問題の暗黒史の一部を描く重い作品🎬🇮🇹
トシオ88

トシオ88