コーカサス

太陽の季節のコーカサスのレビュー・感想・評価

太陽の季節(1956年製作の映画)
2.8
石原慎太郎の芥川賞受賞作を映画化。

互いに愛情を感じながらも、愛することを知らない英子(南田)と津川(長門)。
男女の関係を越え、英子をめぐって兄弟間での売り渡し、さらには妊娠、中絶といった“もはや戦後ではない”、当時“太陽族”と呼ばれた若者たちの大胆な日常や風俗を描いた青春群像劇である。

長門裕之、南田洋子、岡田眞澄ら若い出演者の中、何と云っても脇役ながら本作で映画デビューを飾った慎太郎の弟・裕次郎の存在感が一際輝く。

「日本人離れした長身と長い脚」に惚れ込んだプロデューサーの“ターキー”こと水の江瀧子が見抜いた“石原裕次郎”というまだ荒削りな原石は、彼自身意図しているのか、身の熟し、煙草の吸い方(煙草を挟む指を変えたり)、立ち位置まで僅か短い出演時間にも関わらず、全てが計算のようで、後の銀幕スタアとなるべく要素やカリスマ性を存分に見せ付けている。

234 2020