がちゃん

わが青春のフロレンスのがちゃんのレビュー・感想・評価

わが青春のフロレンス(1970年製作の映画)
3.9
労働者階級闘争を背景に描かれた本作ですが、なんとなくノスタルジックで、『いちご白書』を思い出させるほろ苦い青春物語。
(制作はこちらが先ですが・・・)

革命運動活動家の父と母を幼いころ亡くしたメテロは、
フロレンスの街で煉瓦職人の仕事に就く。

資産家で年上の女性に誘惑され関係を持ち、純粋だったメテロは結婚を考えるが、3年間の兵役に就くことに。

兵役から戻ったメテロは、社会主義グループに入り、革命騒ぎの末の暴動で死んだ男の娘エルシリアと結婚。
子供もできる。

階級闘争はますます激しくなり、メテロらはストライキに突入。
消耗戦となったこの戦いに、一枚岩だった労働者組合にも亀裂が入り始め・・・

ストーリー的には、主人公メテロが刑務所に入ったり出たりを繰り返し、イタリア映画らしい女性関係もあったりするのだが、序盤で関係を持った女性の子供の扱いがとてもいいし、あえて色調を抑えてセピア風に撮った街の俯瞰も素晴らしい。

革命にうつつを抜かす主人公メテロに振り回されながらも、しっかり自我を築いていく妻エルシリアもいい。
子供ができてからどんどん強くなる。

演じているのはオッタヴィア・ピッコロ。
幼いころのリンダ・ブレアに似ている。

オープニングにリンクする、
ラストの主人公の釈放場面もいい。
この主人公、
おそらくまた入ることになるのだろう。

観終わった後、
ジンワリくるタイプの作品です。
おススメ!
音楽は名匠エンニオ・モリコーネです。

がちゃん

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