マグロ

マザー、サンのマグロのレビュー・感想・評価

マザー、サン(1997年製作の映画)
3.5
母と息子、2人だけの世界。

「近親三部作」の第1作目。
美しい森の中で、死を待つだけの衰弱した母とそれを看取る息子の話。
「日陽はしづかに発酵し…」で主演を務めたアナニシノフが息子役、母親役は素人俳優を起用。

「マザー、サン」って「母親と太陽」で母は太陽のように偉大なり!みたいな話かと思っていたら「母親と息子」でした笑

退廃的でお耽美なピクチャレスク調の映像が美しい。そして音楽なしの環境音のみで非常に静か。
息子は母親を抱き抱えて森を散歩する。途中途中で休憩しながら話をする。あくまで母と子の範疇でありながらどこかエロティックな趣きすら感じる。

ソクーロフが母と息子の関係を「物理的に結びつけられた愛情」と表現しているのが印象的だった。子は母親の腹から産まれる。人間関係としてこれ以上繋がっているものもないだろう。
この親密さこそが純然たる親子愛にも関わらずエロティックな錯覚をもたらすような気もする。

もっとオカンに優しくしようと思いました。
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