あやな

ひなぎくのあやなのレビュー・感想・評価

ひなぎく(1966年製作の映画)
3.8
「サラダを踏みにじられて、怒る人たちに捧げる」

とんでもなく強烈。
破壊的な描写を支離滅裂な"カワイイ"に被せつつ、強力な社会的メッセージを含む。

社会主義国家である60年代のチェコにおいて、自由を象徴する2人の少女がいきすぎた悪戯を繰り返す。人形だと自称する2人は、「みんな私たちに気付かない」と言って、男性をだまし、食べ物を粗末にし、雑誌から切り抜いた男性の写真を牛乳風呂に沈め、ソーセージを切り刻み、自分たちまでも切り合う、、。
⭐︎
自由が奪われた現状に満足させられる社会。標本にされ集められている蝶のように、男性のもとで好きなように生きられない女性。

社会的メッセージを除けば、サラダを踏みにじられたら怒る私にとっては、一貫したストーリーがある訳でもなく見ていて気持ちがいい映画ではない。しかし、モノクロとカラーを行ったり来たりする個性的な映像、60年代の可愛らしいファッションや世界観等々、可愛い要素も存分に残されている。
やはり映画を見る上では作られた当時の社会的背景をしっかりと把握することが不可欠だなと改めて感じた。あとこの日本版のポスターは個人的には好かない。
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